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「神族はな、神格をあげるために世界を旅しないといけないんだ」
説明してくれたとうさま。
「そっか……じゃあぼくはどこを、たびしたらいいの?」
もう一度首をかしげた。
―――――――――――――――――――――――――
「本当に行ってしまうの?」
悲しそうなかあさま。
こくんと頷く。
「すぐに帰ってきていいのよ」
仕方ないわねって言いながらかあさまはぼくをだきしめた。
「ぼく、がんばるよ?」
だいぶすらすらと声が出るようになったけど、まだ喋りにくいから安心させるためにかあさまを見つめる。
そんなぼくを泣きそうな顔で見たかあさまはなにも言わずにぼくをもう1度抱きしめてから、とうさまの隣にたった。
「本当は表情ができるまでは神界で暮らすんだがな......お前の場合はそうはいかない」
すまんなと消えるような声でいったとうさまもかあさまと一緒で泣きそう。
「しかたないんでしょ?」
できるかぎりの笑顔を作ってみる。
「いつか、あなたの本当の笑顔を見れるのを楽しみにしているわ」
かあさまはまだ悲しそう。
作った笑顔じゃダメみたい。
困らせちゃったかな?
「すまんな我らの立場上......」
辛そうなとうさま。
とうさまとかあさまの立場はとてもとても高いらしいから仕方ないのにとうさまは謝ってばっかりだ。
「だいじょーぶそろそろ行くね?」
「うむ......」
浮かない顔のままとうさまが手をあげると白いきれいな扉が現れた。
「きれーだね」
「あなたの行く始まりの世界に通じてるのよ」
凛とした顔で言うかあさま。
すごくきれーだなぁ。
とうさまもかっこいいなぁ。
ぼくも2人みたいになれるようにがんばらなくちゃ!
扉に近づく。
2人も近くまで来てくれるみたいで後ろを歩いてくる。
「元気でな......」
「頑張るのよ......ここだけの話し本当はダメだけど、好きな子の1人くらい作っちゃいなさいね?かあ様がどうにかしてあげるからね」ボソッ
最後に悪戯っ子のように笑ったかあさま。
やっとかあさまの笑顔がみれた!
産まれたときに見たきりだったから嬉しい!
かあさまの言った意味はわからなかったけど勢い良く頷いて扉をくぐる。
最後に1度振り返ってから背を向けて歩き出す。
後ろから聞こえるのはぼくを応援する声ばっかりで少し嬉しくなった。
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