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姉ちゃんはボロボロの槍で廃屋の扉を開くと、ゆっくりと中に足を踏み入れた。
凄まじい埃とカビの匂いが、家内を満たしていて、思わず咳き込んでしまう。
「ずいぶん長い間、誰も入ってないみたいだな」
「そうみたいね」
オレと姉ちゃんは、廃屋の一階を調べてみたが、特に何もなかった、ただ朽ちかけた家具があるだけ、ただ、何ヶ所かで何かを燃やしたような、焼けた跡が見られた。
そこにも埃は積もっているし、誰がきて何か…燃やしたにしても、これまた昔の事なんだろう。
次に二階にあがると、幾つかの部屋があったが、とりわけ大きな部屋が一つあった、オレや姉ちゃんの部屋なら4つ分くらい入りそうなスペースだ。
「広いな~、なんの部屋だったんだろう」
姉ちゃんも室内を見回している、オレも何かあるかなと、見てみたが特に目を引くようなモノはなかった、ただ部屋の中央に、溶けたロウソクの残骸があっただけだ。
「もしかして、○○なプレイに使われてたのかしら、こうビシッと」
またバカな事を言う姉ちゃんだが、けど仮にそうだとしたら、この場所は特殊な趣味の人が使う、秘密の会場って事か?
らしい証拠がロウソクの残骸一つでは、そうとも決められないが。
「ん~、でもつまらなかったな、こんな廃屋だから、何かあるかなと思ったのに」
「何かってなんだよ」
「扉を開けたらモンスターが出て来るとか」
「んな訳あるか!モンスターなんて居ねーよ」
「じゃあ広太はモンスターが居ないって、どうやって証明すんのよ~、出来ないでしょ?」
「居ないって、ありゃゲームの中のもんだ、現実にはモンスターも幽霊も存在しないって」
「もう、アンタにはマロンてもんがないの?!」
「なに言ってんだ!そりゃマロンじゃなくて“ロマン”だろ!」
なんて姉ちゃんと大声を出していた時だった。
キィィ…ギギギ…
「!?」
「なに?!」
いきなり背後の扉が開かれた、誰も居なかった筈なのだが。
「風でも入ってきたのか?」
オレはそう言ってドアに近寄り、閉めようと手をかけた瞬間、白く冷たい手がドアの隙間からにゅっと出てきて、オレの手を上から包むようにして握りしめてきた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
オレは思わず、叫び声を上げていた。
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