第1話【鏡魔の夜】

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姉ちゃんはボロボロの槍で廃屋の扉を開くと、ゆっくりと中に足を踏み入れた。 凄まじい埃とカビの匂いが、家内を満たしていて、思わず咳き込んでしまう。 「ずいぶん長い間、誰も入ってないみたいだな」 「そうみたいね」 オレと姉ちゃんは、廃屋の一階を調べてみたが、特に何もなかった、ただ朽ちかけた家具があるだけ、ただ、何ヶ所かで何かを燃やしたような、焼けた跡が見られた。 そこにも埃は積もっているし、誰がきて何か…燃やしたにしても、これまた昔の事なんだろう。 次に二階にあがると、幾つかの部屋があったが、とりわけ大きな部屋が一つあった、オレや姉ちゃんの部屋なら4つ分くらい入りそうなスペースだ。 「広いな~、なんの部屋だったんだろう」 姉ちゃんも室内を見回している、オレも何かあるかなと、見てみたが特に目を引くようなモノはなかった、ただ部屋の中央に、溶けたロウソクの残骸があっただけだ。 「もしかして、○○なプレイに使われてたのかしら、こうビシッと」 またバカな事を言う姉ちゃんだが、けど仮にそうだとしたら、この場所は特殊な趣味の人が使う、秘密の会場って事か? らしい証拠がロウソクの残骸一つでは、そうとも決められないが。 「ん~、でもつまらなかったな、こんな廃屋だから、何かあるかなと思ったのに」 「何かってなんだよ」 「扉を開けたらモンスターが出て来るとか」 「んな訳あるか!モンスターなんて居ねーよ」 「じゃあ広太はモンスターが居ないって、どうやって証明すんのよ~、出来ないでしょ?」 「居ないって、ありゃゲームの中のもんだ、現実にはモンスターも幽霊も存在しないって」 「もう、アンタにはマロンてもんがないの?!」 「なに言ってんだ!そりゃマロンじゃなくて“ロマン”だろ!」 なんて姉ちゃんと大声を出していた時だった。 キィィ…ギギギ… 「!?」 「なに?!」 いきなり背後の扉が開かれた、誰も居なかった筈なのだが。 「風でも入ってきたのか?」 オレはそう言ってドアに近寄り、閉めようと手をかけた瞬間、白く冷たい手がドアの隙間からにゅっと出てきて、オレの手を上から包むようにして握りしめてきた。 「うわぁぁぁぁぁぁ!!」 オレは思わず、叫び声を上げていた。 ……………………………………………
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