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そうして小牧、フルネームは小牧圭介とたわいない雑談をしていると、赤く染めた髪の女子が近寄ってきた、高橋さんだ。
小牧は彼女の髪を見て一瞬だがギョッとした顔になる、まあ…気持ちは理解できる、オレもそうだったし。
「谷口さん、一緒のクラスになれましたね、これからよろしくお願いします」
「よろしく、まさか高橋さんと同じクラスになるとはな」
「私もです、でも友達が同じクラスに居てくれて良かった、やっぱり初めて会う人ばかりだと、ちょっと緊張しちゃいますよね」
「まあな~、…あ、そうだ、紹介するよ、こいつは小牧圭介、たった今ダチになった」
「そうなんですか、小牧さん、私は高橋雪菜です、これからよろしくね」
「は…はい、こっちこそ」
何故か緊張したようにカチコチになって、カクカクと頷く小牧、どうしたんだ?
「あ、谷口さん、良かったら一緒に帰りませんか?」
「いいぜ、じゃあ小牧、オレら帰るわ、また明日な」
「失礼しますね小牧さん」
「お、おう、気をつけて帰れよ」
小牧はまだカチコチみたいだが、それでも手を上げて見送ってくれた。
……………………………………………
「にゃははは、そりゃ面白くなりそうかも」
夕食時に品の無い笑い声を上げる姉ちゃんとクラスやダチの話をしていた、姉ちゃんは二年生からの編入で、転校生でもあるから、既にある程度はグループが決まっているクラスに馴染むのは、少しばかり大変そうだと思っていたのだが。
入学式初日から、バンバンクラスメート達に話しかけて、気のあう女子グループの仲間にあっさり入り込めたそうだ、女子グループは何かと面倒な事が多いと聞くが…
それはともかく、小牧圭介が高橋雪菜と会った時の話をしたら、いきなり笑いだしたのだ。
知り合って間もないが、あまりダチを笑われるのは、気分は良くない。
「何がそんなに可笑しいんだよ」
「その小牧クン、きっと雪菜ちゃんに一目惚れしたのよ」
「はあ?」
「じゃなきゃ、そんな緊張したりしないわよ」
「おいおい、それだけの理由で一目惚れしたとか、あまりに性急な判断じゃねーの?」
「私の野生の感よ、間違いないわ」
「全っ然信用できねぇよ!」
などと言いつつも、内心ではまさか…とも思う。
(オレ的には、高橋さんの真っ赤な髪にビビってたんだと思ったんだが、…いやしかし、まさかな…)
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