第1話【鏡魔の夜】

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「くそー」 オレも負けじと二階にドタバタと駆け上がり、途中…ふと正気に戻る、何をムキになってるんだ高校生にもなって。 オレは苦笑いしながら、指で頭をかきながら、今度は普通に階段を上がった。 「よっし、この部屋は私が頂いたわ~!」 二階に上がるなり、そんな声がきこえてくる、オレより1歳しか違わない姉ちゃんだが、一応は姉らしい威厳と言うものを持ってもらいたい。 「そんなに良い部屋なんかい?」 オレは姉ちゃんの声が聞こえた部屋に向かい、中を覗き見た。 「ほう」 「どうよ、いい部屋でしょー」 確かに悪くない、窓は北向きだが、歩道を挟んだ向こう側は森があり、窓を開くと緑の香りが鼻をくすぐる。 今は春、これから夏になる訳だが、これは涼しい部屋になるだろう、唯一の欠点は日当たりが悪い事だろう、北向きの部屋なので太陽が入らないのだ。 「でもさ、ちょっと薄暗くないか?」 思った事を口にすると、姉ちゃんは固い床にも関わらず、ゴロゴロと転がりながら『いいも~ん』と満面の笑みだ。 「子供かよ」 オレは姉ちゃんの行動に思わず、そう呟いていた。 …………………………… 引っ越し業者のおかげで、楽に荷物の搬入が終わり、各々の私物を決めた部屋に持ち込んで、設置してもらったタンスには服を入れ、その上にはコンポを置いた。 机には教科書とノート、ベッドを整えた。 2~3種類のコミックを棚に入れ、プレイステーションをテレビに接続、よく遊ぶのはRPGだ。 個人的にハマったのは、ワイル○アームズと言うゲームで、これは正に傑作だろうと思う。 特にアームズと呼ばれる、古代兵器の銃器が最高だった、メチャメチャに改造して最高レベルまで強化した、未だにプレイデーターはしっかり残してある。 ちなみに姉ちゃんは、部屋にパソコンとスキャナー、プリンターなどを机と、隣に置いた棚に設置していた。 ああ見えて、実は姉ちゃんはパソゲーが大好きだ、もちろん中身は“アレ”なゲームなのだが、平気な顔でプレイしている。 また、昔から可愛がっているウサギのぬいぐるみを、ベッドの枕元にちょこんと置いてある。 まあ、この辺までは別に変だと思うような物はないだろう、パソゲーはともかく、それも趣味の範囲に収まるかとは思う。
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