鏡への“ゲート”

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「まあいい、とにかく女が学校から出る前に見つけないとな、……へへへ」 (…っ!この野郎、やっぱり女生徒が行方不明になったのは、こいつが犯人なのか?!) どう考えても、この時期にこんなタイミングで、あんな事を言うならば、犯人の可能性は十分にある。 校内に侵入しているのが女子…、どうやって男女の区別が付いたのかは分からないが、女だから探しているようだ、もしや一階の教室の窓際に置いてきた、外靴が見つかったのか?。 (…あれ、でも中島は靴を持っていったよな、置いてきたのは俺や谷口の靴だし…) 小牧は自分の靴を見る、靴のサイズは『28」だ、中島が履くには大きいだろう、谷口は分からないが…あまり差はないだろう、だとしたら、どうやって女生徒だと断定して探しているのか。 仮にも女生徒を拉致するような犯罪者なら、靴のサイズなどで、男の靴か…女の靴か、大まかに区別するぐらいの知恵はある筈だが… そうこう思考を巡らせているうちに、青山は職員室から出て行った。 「ふぅ~…見つからずに済んだか、助かった」 小声だが小牧は思わず息を吐いた。 「いや、こうしちゃいられない、早く谷口と中島を探して逃げないと、青山はマジでヤバい」 谷口や自分ならば、怒って学校から追い出す、と言う方法を取ると思うが、見つかったのが中島なら…先ほどの言動から推測しても、よからぬ事をするに違いない。 小牧はそうなったら、最悪…青山を取り押さえるなりするしかない、そう考えながら、職員室のドアをそっと開いた。 ガラガラ… と、ドアを開く音が静かな校舎では、ことさら大きく響いた気がした。 一瞬、ヤバい…と小牧は思ったが、幸いと今の音を聞いて青山が戻ってくる気配は無い。 そう判断した小牧は、そっと職員室から出て、なるべく音を出さないように注意しながら、ドアを閉めて廊下を忍び足で移動し始めた。 …………………………………………… 「隠れろ、中島」 谷口はそう言って、中島と一緒に来た道を戻り、ドアが開いていた教室に入って身を隠した。 「…もしかして青山が居たの?」 何も言わなくても、中島は状況を察しているようで助かる。 「参ったわね、小牧君が職員室に居るなら、こちらから向かうしかないんだけれど」 もし青山に見つからないようにするには、階段を下りて一階に行くか、今の教室で隠れてやり過ごすしかない。
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