鏡への“ゲート”

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「いや、青山をかわして職員室に行ける方法は…ある」 「どうやって?」 「トイレを突っ切るんだ」 「…トイレを?……ああ………なるほどね、それなら青山を避けて、職員室に行けるわ」 つまり簡単に説明すると、校舎の廊下は左右に2本あり、それは長方形の四角になっていてるが、上部の方は左右の廊下が繋がっておらず、その端の片側に階段がある構造だと思ってくれれば良い。 なので、左右の廊下を行き来するには、長方形の下部の部分…つまり、谷口と中島が身を隠している教室側に近い階段の、その左右が繋がっている廊下を使うしかない。 だが、それでも左右の廊下には教室があり、生徒たちが授業を受ける、それでは片側にトイレの入口があるだけでは、当然だが不便過ぎる。 なので、トイレは左右の廊下のどちら側からでも入れるように作られている、つまりは、左右の廊下を繋ぐ通路だとも言える。 「時間が惜しいわ、この教室では、青山が入ってきたら間違いなく見つかる、早く反対側の廊下から迂回して、職員室へ向かいましょう。 「おう、急ごう」 2人は青山との距離を確認し、懐中電灯の明かりが、2人が隠れている教室の方を照らしていないタイミングを見計らって飛び出した。 これまた幸運にも、青山に見つからずに階段のある場所…つまり、左右の廊下に繋がっている渡り廊下に戻れた。 そのまま青山が歩いているのとは反対側の廊下に回り込み、暗い廊下を小走りに走り抜けた。 「オレは男子トイレから行く、中島さんは女子トイレから行ってくれ」 「え、うん、分かったわ」 この状況でも律儀に男女別のトイレを選んで、向こう側の廊下に行こうと言った谷口に、中島は『真面目な人ね』と笑いながら、女子トイレに入る。 すぐさま谷口も男子トイレに入り、そのまま突っ切って廊下に出た、青山にしてみれば後ろに回り込まれた位置になる。 「よし、…中島さん、今の内に職員室へ行こう」 ほんの手前の女子トイレに居る筈の中島に声をかけた、…だが、返事は無かった。 不振に思った谷口は、女子トイレを覗くのに抵抗を持ったが、仕方なく近寄ってトイレ内に声をかける、だが反応は無い。 「中島さん?………中島さん!………どうしたんだ、居ないのか?……なんでだ?どこに行ったんだよ」 谷口は呆然しながら、女子トイレの前で立ち尽くした。 …………………………………………………
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