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7月25日、晴れ。
今日の空は、薄めだけれど透き通るような青に、所々小さな白い模様の有る服を着ている。
夏の太陽が発する、肌を焼くような暑さと鋭い光は、わたしにも容赦なく降り注いで来て、思わず視線を下に向ける。
「ははっ、今日も会ったな」
目の前の屋敷の壁を睨むように眺めていれば、背後から明るいカラッとした笑い声が聞こえて、わたしはゆっくりと振り返る。
そこには1人の少年がニコリとした笑みを浮かべていて、わたしも思わず目を細める。
「うん。また会ったね」
茶色がかった癖毛の短髪。
キリリと吊り上がった目は意志の強さを現しているのか、その瞳はキラキラと輝いている。
小麦色に焼けた肌に、白く輝く歯がよく似合う。
緑のTシャツと白の半ズボンという格好は、夏という事を考えれば当たり前なんだろうけど、どことなく活発な印象を受けた。
いつも声を掛けてくる彼の名を、わたしは知らない。
名前を聴き忘れた事に気付いた時には、既に出会ってから1ヶ月も経っていて、名前を聴くのが少しおかしい気がしたから。
「よ、クルミ。元気してたか?」
彼はわたしの右隣に来ると、そう言ってしゃがみ込み、わたしの足元で毛繕いをしていた、野良にしては綺麗な猫の頭を、優しく撫でた。
わたしもそっと座って、クルミの体を撫でる。
ふさふさの茶色い毛を撫でられて、光の反射の角度によって稀に黄金色にも見える緑の瞳を気持ち良さそうに細める姿は、思わず抱き締めたくなる程可愛らしいのに、何処か凛としたモノも感じる。
それは犬にしても猫にしても人にしても花にしても、強く生きている者に感じるモノであって、あちこちに溢れていても眩しいモノだ。
「おいおい。服、汚れるぞ」
夢中でクルミの背中を撫でるわたしに、彼はそう言って少し呆れたように微笑みながら、わたしの着ているワンピースを指差す。
確かにこのワンピースの綺麗な青は気に入っていたけど、わたしは一瞬だけ手を止めて、軽く息を吐き
「良いの、別に」と答えた。
「親に怒られたりするだろ?」
「大丈夫」
「せっかく綺麗な服着てんだし、大事にしろよ」
「平気。洗えば済むもの」
「いや、洗濯って結構大変なんだぜ?」
苦笑する彼に、仕方無く腰を上げる。
この体勢、結構足が痛いんだけどな。
小さく唇を尖らすと、彼がこちらを見ながら僅かに微笑んだような気がして。
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