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「なかなか良いアドバイスだね」
タカシである。
タカシはそれだけ言うと、長い足を組んで目を閉じてしまった。
「午後もハンドルを握らなきゃならないから、少し休ませてもらうよ」
「‥‥‥」
気楽なもんだなぁ。マイペース過ぎるでしょう。
あれ? 左胸のネームプレートの文字‥‥えっ、本気で?
───橋本剛───
七海さんの苗字も‥‥橋本‥‥
式場のキャンセル、親戚のためのホテルの予約‥‥
いろいろ合点がいったよ。
2人はもう籍を入れてたんじゃないか‥‥
また肩の力が抜けた‥‥
僕は他人のお嫁さんに、朝からトキメめいていたってことか‥‥
「ねぇキミ、よそ見なんかしてないで、ちゃんと彼女を応援しないと!」
「へ?」
僕の右隣は熟年カップルの旦那さんである。
そして、旦那さんの言葉の意味は直ぐに分かった。
ご飯は無事に炊き始めたものの、カレーの作り方で久美ちゃんは悩んでいる。
負けず嫌いな久美ちゃんは、目に沢山の涙を溜め始めている。
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