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久美ちゃんの目に溢れた涙。
涙はすぐに、ボロボロと久美ちゃんの頬を伝わり出した。
「く、久美ちゃん頑張れ!」
僕は立ち上がって大声を出した。
久美ちゃんの負けず嫌いは昔からだ。
トランプで負けた時などには、すぐに泣いた。
テストの最中に解けない問題があって号泣した時もある。
水泳大会で3位になった時など、先生が止めているのにも関わらず、そのまま延々と泳ぎ続けた。
「久美ちゃん、焦らないで、僕がついている。きっと美味しいカレーが作れるよ!」
「うん。うん」
どうやら僕の声が届いたらしい。
久美ちゃんは力強く頷くと、寸胴鍋に水を注いだ。
鍋をコンロに掛けて火を入れる。
それにお肉を放り込む。
皮を剥かないジャガイモを入れる。
「‥‥‥」
ニンジンだけは何とかぶつ切りにしてくれた。
そしてタマネギは、また丸ごと。
そんでもって、何故かマグロの切り身とリンゴ‥‥
久美ちゃんが涙目のまま、僕にガッツポーズをくれる。
呆気に取られた僕も、何とかガッツポーズを久美ちゃんに返した。
どうか固形ルウを入れる事だけは忘れないで‥‥
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