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「しっかしアンタって、失神とか気絶が得意なのね」
久美ちゃん、それって得意とか不得意とかの問題じゃないですから。
「鉄分、ちゃんと摂らなきゃダメよ」
あれ? 久美ちゃん、怒りながら何をニヤついてるの?
「はい、コレ」
「はい」
久美ちゃんが右手を出したから、僕も右手を出した。
ひんやりした物が手のひらに乗っかった。
「何コレ?」
銀色のクマさんバッチである。
「郁也クンが、あまりにも私のカレーを美味しそうに平らげたからね、銀メダル」
「へ?」
「審査員の先生が、泣きながら感動してたわ」
「へ、本当?」
僕はその言葉を信じきれずに、七海さんの顔を見た。
七海さんが、頷いてくれる。
「や‥や‥やった!」
「1位は熟年の奥さん。3位はお隣のイチャイチャカップルよ」
すっげぇ、天国へ行きかけたけど、これならもしかして優勝も夢じゃない。
「郁也クン、ここで油断しちゃダメよ」
あれ? 急に久美ちゃんが怖い顔になっちゃった。
「勝負は第3ゲームまであるのよ。私達はトータル70ポイント。熟年カップルとロックンローラーは、それぞれ100ポイントを持ってるわ」
だね。久美ちゃんの言う通りだよ。
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