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ツアー参加者は1階のレストランへ通された。
3方が見渡せるそこは、シャンデリアの淡いライトに包まれた、大人の空間。
日は既に落ちて、港の夜景は、紺のベルベットに様々な種類の宝石をばら撒いたようだ。
船はゆっくりと、埠頭から離れて行く。
《それでは皆様‥‥》
おや? 七海さんの声が、何処か大人びているよ。
ははん、僕は気がついたからね。
七海さん、ちゃつかり制服を着替えたでしょ。
スカートの丈が長くなってるよ。
スカーフも白に変わったし、口紅の色も濃くなってる。
《お食事をしながら、最終ゲームのルール説明を、お聞き下さい》
僕と久美ちゃんのテーブルへ、前菜が運ばれて来た。
けれども僕は本調子じゃ無いから、ウェイターさんにシャーベットだけをお願いした。
どんな高級料理が運ばれて来ても、今の僕には、それがマグロとウナギとカレーの固形ルウに見えてしまう自信がある。
《最終ゲームは、名付けて、春のドキドキラブレターで~す》
え! ラブレター‥‥‥何だよ‥‥何だよ‥‥またまた胸の奥が、チクリと痛むよ。
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