きす、キス、KISS

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「いてぇな。…ったく、校内暴力の次は家庭内暴力だ」 先生は文句を言いながら、口元を緩ませ私を優しく見つめた。 町内会の小さな夏祭り。近所のスーパーの駐車スペースにやぐらは組まれ、浴衣姿の家族連れで賑わう。 二人で寄り添いたいけど、誰かに見られると困るから、先生の両親と四人で出掛けた。 私達は手を繋ぐことも、腕を組むことも、寄り添うことも出来なくて、私はお母さんと二人で並んで歩いた。 先生は紺色の浴衣姿。 先生の広い背中を見つめながら、先生の数歩あとを歩く。
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