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「いいじゃない。食事くらい付き合ってよ。輝、家に帰っても夕食ないよ」
涼子は笑いながら、俺に視線を向けた。
「じゃあ、食事だけな」
俺の頭の中に、小悪魔みたいに角を生やした彩の顔が浮かんだ。
食事だけだよ彩。
これは、浮気じゃない。
俺達は昔と同じ窓際の席に座る。テーブルの上に置かれた一輪の薔薇が、あの頃を思い出させる。
「輝、六年前のこと、怒ってる?」
「六年前?もう昔の話だ。過去は忘れちまったな」
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