母親失格

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お母さんの顔を見て、愛梨奈が嬉しそうに笑った。 コインを入れると動くパンダの遊具。お母さんは愛梨奈を乗り物に乗せ遊ばせている。 『家族みんなで愛梨奈を育てている』先生の言う通りだよ。 家族に守られ、平穏な日々が送れることが、何よりも幸せなことなんだってわかっているけど、私の心に芽生えた不安は、次第に心の中を埋めつくしていく。 そんな不安を抱えたまま月日は流れた。 ――翌年二月。 愛梨奈は二歳の誕生日を迎えた。大人の中で育ったせいか、益々言葉は増えお喋りになった。
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