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「お母さん。愛梨奈のママは私なの。それだけは…いや」
「彩ちゃんの気持ちはわかるけど、愛梨奈に本当のことを教えると、ご近所さんの前で彩ちゃんをママって、呼んでしまうだろ。二~三歳児の記憶なんて、成長すれば忘れてしまう。今だけそうしよう」
「…いや」
愛梨奈の濡れた手を、先生が優しくタオルで拭く。
「ひーちゃん、パパってなぁに?」
「パ、パ、パ、パパはな。パパは…えっと…」
愛梨奈の質問に、先生も完全にテンパっている。見かねたお母さんが愛梨奈に声を掛けた。
「ほら、愛梨奈。ドーナツだよ~」
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