第14話

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私が君を守るから。 そう言ったのは何度目だろう。 私は嘘つきだ。 この手で守るものを壊したのは何度目か。 壊したくはなかった。 壊さざるを得なかった。 全部、あいつが邪魔をする。 そして私は、守るのをやめた。 壊していくようになった。 最初は怖かった。 壊していったものがいつの日か。 襲って来るんじゃないかと。 何度壊しただろう。 そのうち恐怖も消えて。 快楽だけが残った。 私は破壊神としてこの世にいる。 はずだった。 時は来たのだ。 壊していったものが襲ってきた。 不思議と怖くはなかった。 そのうち幸福に包まれて。 私は壊れていった。 壊したものに壊されるなら。 未練はない。
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