旅立ち

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フィーネは、すぐには声が出なかった。 今まで普通の人間だと思っていた。 少なくとも、昨日までは普通の人間だった。 それが今、自分が半神だったと知って複雑な気持ちになった。 「でも、今まで通りの生活は出来ますよね? 動物と話が出来るくらいなら隠せます。 まさか、ここを離れるなんてことはありませんよね?」 フィーネは兄に頼むように言った。 「フィーネ。 話はまだ終わってないんだ。 俺たちの能力は動物と会話出来るだけじゃない。 さっきも言ったように、イニーツィオは俺たちに神と同じ能力を与えた。 つまり俺たちは、体は半分神と同じであり、イニーツィオと同じ能力を持っている。 だから今日、お前が腕を切っても傷がすぐに治ったんだ。 どうやら俺たちは、神々に殺されるか、この世から自然が無くなって能力の源であるイニーツィオが消えるかしない限り死なない。 そして、普通の人のように年を取る事も無い。」 「それって……」 「そう、もうここにはいられないんだ。 実は、もう父さんとは話してある。 俺たちはイニーツィオの所へ行くことになった。 周りの人には留学することになったと言ってある。 明日にでも出発するつもりだ。」
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