5人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
フィーネは、すぐには声が出なかった。
今まで普通の人間だと思っていた。
少なくとも、昨日までは普通の人間だった。
それが今、自分が半神だったと知って複雑な気持ちになった。
「でも、今まで通りの生活は出来ますよね?
動物と話が出来るくらいなら隠せます。
まさか、ここを離れるなんてことはありませんよね?」
フィーネは兄に頼むように言った。
「フィーネ。
話はまだ終わってないんだ。
俺たちの能力は動物と会話出来るだけじゃない。
さっきも言ったように、イニーツィオは俺たちに神と同じ能力を与えた。
つまり俺たちは、体は半分神と同じであり、イニーツィオと同じ能力を持っている。
だから今日、お前が腕を切っても傷がすぐに治ったんだ。
どうやら俺たちは、神々に殺されるか、この世から自然が無くなって能力の源であるイニーツィオが消えるかしない限り死なない。
そして、普通の人のように年を取る事も無い。」
「それって……」
「そう、もうここにはいられないんだ。
実は、もう父さんとは話してある。
俺たちはイニーツィオの所へ行くことになった。
周りの人には留学することになったと言ってある。
明日にでも出発するつもりだ。」
最初のコメントを投稿しよう!