5人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
「ところでお兄様、どこへ向かっているんですか?」
父との別れから2時間後、2人はパークの馬小屋からそれぞれの愛馬を連れ出し、馬に乗って長い道を歩いていた。
フィーネが乗っている馬はフィーネの髪の色と同じ純白のメス馬、フィナーレが乗っている馬はフィナーレの髪の色と同じ漆黒のオス馬だ。
「昨日の夢で、イニーツィオが教えてくれた場所に向かっている。
約束では、今日の夜にその場所で会うことになっている。」
「その場所ってどこですか?」
「分からない。
けど、この道をまっすぐ行けばいいって言ってたんだ。
そのうち、使者が現れるんだとよ。
昼になってもその使者が現れなかったら、今度は馬を走らせよう。
走れるよな?
ブラック。」
前を行くフィナーレが馬の首をポンポンとたたきながら言う。
(もちろんだ。
ホワイトも走れるだろう。)
馬はそれぞれ毛色と同じ名前がついている。
「ホワイト、もし疲れたら言って下さいね。」
(私だって立派な大人の馬です。
女の子だからってブラックには負けてません。)
ところが、走る必要は無かった。
太陽がそろそろ真上に来ると思った頃、前方に2頭のオオカミが犬のようにちょこんと座っているのが見えた。
近づくにつれ、2頭のオオカミがとても大きい事が分かった。
少なくとも虎やライオン以上に大きいだろう。
そして、2頭とも毛並みがとてもいい。
1頭は純白、もう1頭は漆黒。
そう、フィーネとフィナーレの髪の色だ。
最初のコメントを投稿しよう!