神殿

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一瞬、言葉が出なかった。 「そんなに褒めても何も出てきませんよ? お母様はもっと凄いはずです。 お母様を知らないのに、女神みたいだなんて……」 そう言いながらも、フィーネは自分の能力を不思議に思っていた。 どうして、私はお兄様よりもこの能力を上手に使えるんだろう…… そう考えていた時、ビアンカが話しかけてきた。 (そろそろ進もう。 あと2時間で目的地に着くはず。) 同じように、ネロがフィナーレに話しかけているのが聞こえた。 そして、一行は再出発することになった。 森の奥に行くに連れて、動物たちの姿が多く見られるようになってきた。 フィーネとフィナーレの噂が動物たちに流れ、集まってきたようだ。 フィーネは目的地に着くまでの間、土を操って遊んでみた。 手のひらの上で、土が馬の形に変わったり、オオカミの形に変わったりする。 自然物の全てをフィーネは思い通りに操ることができる。 そして、川を出発してから2時間後、ようやく目的地が見えてきた。 なぜフィーネが行ったこともない目的地が分かったかというと、目的地は自然の女神イニーツィオの神殿だったからだ。 森の中に、突然巨大な神殿が現れれば、そこが目的地なのだと分かる。 それにしても、こんなに大きな神殿が森の中にあれば目立つのではないかと思い、ビアンカに訪ねてみた。 (この神殿は、イニーツィオに許された者だけが見ることができ、入ることが出来る。 普通の人間には、この神殿の存在すら知られていない。)
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