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修行10日目。
午前中に、フィナーレは既にフィーネに2回ほど殺されていた。
「なんでフィーネはあんなに強いんだ?
俺だって毎日ネロと剣術の練習してんのに。」
(フィナーレ様には、まだ迷いがある。
気づいていないかもしれないが、持っている力の半分も出せていない。
それに対してフィーネ様には1点の迷いも無い。)
「そこがフィーネの恐ろしい所なんだよなぁ。
普通、実の兄に対して迷いなく剣で斬りつける妹がいるか?」
(それは俺も驚いたが、あれだけ毎日殺されておきながら本気になれないフィナーレ様の方が俺としては驚きだ。)
ネロがあきれながら言う。
(それに、フィーネ様に勝てない理由はもう一つある。
フィナーレ様の武器は両手剣、対してフィーネ様の武器は片手剣。
つまり、重くて殺傷能力は高いが、素早く振り回せない。
フィナーレ様が一振りする間にフィーネ様に何度も斬りつけられてしまう。
しかし、逆に言えば今ある心の迷いと剣の使い方を改善することが出来れば、能力を使わない戦いにおいてはフィナーレ様の方が強いだろう。)
「能力を使わない戦いでは……か……」
やっぱり悔しいな。
一方、フィーネはというと……
「お兄様は絶対にまだ本気を出していません!
そもそも、女の子と男の子っていう差があるんですから、本気でやったらお兄様の方が強いに決まっています!」
しっかりと理解していた。
「そうなると、お兄様が本気を出して来る前に、何か作戦を考えなくてはいけませんね。」
その時、ふとイニーツィオの言葉を思い出した。
変身術で姿を変える……
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