離別

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その頃、フィナーレは西側の出入口から出て行く人を待っていた。 やがて、1人の男が研究所から出て来た。 どうやら帰宅するらしい。 フィナーレはじっくりとその男を観察した。 「よし。」 次の瞬間、フィナーレの姿はその男になった。 男が見えなくなるところまで行ったのを確認すると、フィナーレは何食わぬ顔をして男が帰って行った方向から西側の出入口へと向かった。 出入口には監視員がいた。 「あれ? 忘れ物でもしたんですか?」 「まぁな。」 監視員が怪しむこともなく、軽い会話であっさりと施設内に侵入することが出来た。 フィナーレは何食わぬ顔をして、建物の中に入って行き、最上階から調べる事にした。 建物は地上4階建ての地下は2階建てだ。 フィナーレは階段を登り、奥の部屋から調べ始めた。 装置が置いてありそうな部屋は見当たらない。 フィナーレが3階に降りようとした時、階段から1人の男が登って来た。 「おや、アレンじゃないか。 副所長ともあろう君がこんなところで何をしているんだね?」 俺が変身したこの男はアレンという名前なのか…… 身なりがいいとは思ってたが、副所長とはな…… 随分いい奴に変身出来たもんだ。 目の前の男は俺に敬語を使わないところからすると、所長しかあり得ないか…… 「そう言うあなたこそ、どうしてこのような場に?」 フィナーレは冷静に、そしてボロが出ないように気をつけながら尋ねてみた。 「ああ、私はちょっと用があってね。 そうだ、君もついて来てくれないか? 出勤時間は過ぎていることだし、仕事もないだろう?」 フィナーレは上手く断る理由が見つからなかったので、取り敢えずついて行く事にした。 「分かりました。」
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