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私と兄は高校を卒業したら父の仕事を手伝うつもりでいた。
父の仕事を手伝うのに、大学へ行く必要は無いと思ったからだ。
私も兄もここが大好きだった。
家にいる時や学校にいる時よりも、ここにいる時の方が落ち着いた。
まるで、母のもとへ帰ってくるかのように、学校から帰るとまっすぐにここに来た。
私は1週間ほど前から世話をしている子馬にミルクを与えた。
「よしよし、いい子ですね。
ミルクは美味しいですか?」
子馬から返事なんて来ない事は分かっているが、ついつい話しかけてしまう。
「あなたとお話をしてみたいけれど、とても無理ですね。
あなたは話せませんから。」
子馬をなでながら独り言を言う。
(フィーネ様!)
私はどこからか声がして振り返った。
しかし、周りには動物の赤ちゃん以外には誰もいない。
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