離別

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ガチャッ! 所長と思われる男は4階の一室にフィナーレを連れ込むと、鍵を閉めた。 先ほど調べたこの部屋は、テーブルと椅子が置いてあるだけの休憩所。 「まぁ、座りたまえ。」 男にそう言われ、椅子に座る。 「やってもらいたい仕事がある。」 長引くようなら、無理矢理でも理由を作って抜け出そう。 そう思い、フィナーレは男の話に耳を傾けた。 「どんな仕事でしょうか?」 「殺して欲しい人物がいるのだよ。 君でないと、無理だろう。」 予想外の内容にフィナーレは一瞬驚きの色を隠せなかった。 こいつ、ちょっと用があってとか言ってなかったか?! ついて来てくれないかとか言ってたよな?! 殺人のノリが軽すぎねぇか?! フィナーレが心の中で突っ込んでいると、男はニヤリと笑って言った。 「そう、君でなければ。 フィナーレが最も適任なのだよ。」 「えっ…… 何言ってるんですか? 俺はアレンですよ?」 思わぬ言葉にフィナーレは焦りを隠しきれなかった。 どう言うことだ? 会った事も無いこいつにどうして俺の名前が分かるんだ? 第一、今の俺は他人に変身してるんだぞ? 「アレン? そんな名前の人物はこの施設にはいないのだよ? 素直に認めたらどうだね? 自然の女神イニーツィオの息子よ。 変身する相手の名前くらいは確認しておかないとね。 いくら変身が上手くても、変身する相手になりきらなければ分かる人には分かってしまうものだよ? まぁ、イニーツィオとフィーネにはどんな手段を使っても分かってしまうだろうがな。」 そう言ってニヤリと笑う。 「あなたは誰ですか。」 フィナーレは諦め、少し威圧をかけてそう言った。 必要であれば殺す。 「私は君の兄弟さ。」 男はニヤリと笑ってそう言った。
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