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「やれやれ、後始末が不十分ですよ。
フィーネ。」
何の前触れも無く施設跡に現れたのはイニーツィオだった。
イニーツィオは手をかざし、施設の空気から何かを吸い取っていく。
「フィーネ、汚染された空気を取り除かなければ完璧とは言えませんよ。」
そう言って、オオカミのフィーネに振り向く。
「フィーネ、フィナーレを置いて次の施設へ行きなさい。
今度はちゃんと空気を浄化するのですよ?
半神のあなたには空気の毒はきついかもしれませんが、最初は苦しくても時間をかけて体内で浄化されますから、絶対に死ぬことはありません。」
「わかりました。
次の施設へ向かいますね♪」
フィーネは頭を下げ、ビアンカと共に次の施設へと向かった。
後に残ったイニーツィオは穏やかな顔から急に真剣な顔つきになった。
「さて、息子達に会いに行きますか。」
イニーツィオは海辺に向かって歩き始めた。
海辺では、海神とフィナーレが向かい合って立っていた。
フィナーレの横にはネロもいる。
イニーツィオに気づいた海神が振り向く。
「イニーツィオよ、フィナーレは私が預かることにする。
あなたにはフィーネ1人で十分であろう?」
「フィナーレがあなたについて行くと言うのなら、止めはしません。
確かに、フィーネ1人で私の任務は十分にこなせるでしょう。
しかし、あなたが考えていることを知らない私ではありません。
その時が来たら、たとえ息子であろうとも殺しますよ。
フィナーレもそれをよく理解した上で決断するのですよ。」
先ほど聞いた海神の話。
それは、イニーツィオの妹であるベスティアを復活する前に殺せというものだった。
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