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「ビアンカの言葉は分からないけど、取り敢えず、フィーネ様をお守りすればいいんだね!!」
リヤンが単純な性格で助かった。
ビアンカが2人を連れて来たのは中国本土からはかなり離れた離島だった。
半径1km程度の島で、比較的暖かい気候環境にあり、果実のなる植物が生息し、海にはそれなりに海洋生物がいる。
理想的な無人島と言えるだろう。
ドスンッ!!
何か大きな物が倒れる音がした。
振り向くと、リヤンがその馬鹿力で木を倒しているではないか。
「フィーネ様の為に小屋を作るのぉ♪」
やることが早い。
道具を使わずに、その持ち前の馬鹿力で次々と木材を揃えて小屋を組み立てていく。
そして、僅か4時間程で立派な小屋が出来上がっていた。
床から壁や屋根、ドアもちゃんと出来ている。
広さは8畳ほどで、フィーネ、リヤン、ビアンカが入ってちょうどと言ったところだろうか。
「かーんせーい♪」
リヤンの嬉しそうな声が聞こえた。
すぐにフィーネの体を小屋の中に運び込むと、今度は夕飯の準備に取り掛かり始めた。
このリヤンという人物、思ったよりも使えるようだ。
これからもフィーネ様の為に尽くしてもらおう。
「かーんせーい♪」
またもやリヤンの嬉しそうな声が聞こえてきた。
ところが……
(なんだこの異臭は……)
翼狼のビアンカの鼻にはとても食べ物とは思えない匂いがした。
(一体何を作ったのだ……)
匂いの元を辿ると、焚き火の周りに焦げた魚たちが串刺しにしてあるではないか。
それも、ちょっと焦げた程度なんかではなく、真っ黒焦げになっている。
「あ、見て見てビアンカー♪
フィーネ様の為に夕飯を作ったのぉ♪」
(あんな立派な小屋が作れるのに、魚一匹まともに焼けないのか?
こいつは、炭でも作るつもりか?)
いつもは落ち着いているかっこいいビアンカでさえ、思わずツッコミせざる得なかった。
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