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糸 #2
それから少し経った頃、
慎吾と茜さんは別れた。
事情は何も聞かなかった。
慎吾も何も言わなかった。
僕たちを
絡ませ、結びつけ、切り離し、
そうやってがんじがらめになっていた糸が、
今、解けた。
慎吾は慎吾で。
茜さんは茜さんで、
美由は美由。
そして僕は、僕だ。
美由と茜さんはこれからも、糸を添わせ、
でも決して結ぶことなく
決して絡まることもなく
伸ばしていく。
二人、隣で紡いだ糸を。
どんな風も水も火も
負けないような強い糸を……
もう、次の季節が来ていた。
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