第1章

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「・・・かあさん、かあさんてば。ねぇ、聞いてる?」 私は、一人息子の蒼李(あおい)の呼び掛けも耳に入らないくらい、昨夜の夢の事を考えていた。そうだ、気にしない、気にしない。だけど・・・。 「かあさんてばっ。」 「・・っは、ごめん、聞いてるよ。それでなんだっけ?」 「だからさぁ、新しい先生がって、 時間だー、行ってきます!」 食べかけの朝食の食器を、バタバタとキッチンに運んで、エナメルバックとサッカーボールを掴んで出掛けて行く蒼李を見送りながら、 「蒼くん、行ってらっしゃい。」 聞こえているかは分からないが、急いで声をかけた。蒼李は、春休みにもかかわらず、所属しているサッカーチームの朝練がある。 どうして今更、あの人の夢なんて見たのかな・・・。 あ、時間だ。 私も出勤の時間が迫ってる事に気が付き、慌てて立ち上がり準備に取り掛かった。
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