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「・・・かあさん、かあさんてば。ねぇ、聞いてる?」
私は、一人息子の蒼李(あおい)の呼び掛けも耳に入らないくらい、昨夜の夢の事を考えていた。そうだ、気にしない、気にしない。だけど・・・。
「かあさんてばっ。」
「・・っは、ごめん、聞いてるよ。それでなんだっけ?」
「だからさぁ、新しい先生がって、
時間だー、行ってきます!」
食べかけの朝食の食器を、バタバタとキッチンに運んで、エナメルバックとサッカーボールを掴んで出掛けて行く蒼李を見送りながら、
「蒼くん、行ってらっしゃい。」
聞こえているかは分からないが、急いで声をかけた。蒼李は、春休みにもかかわらず、所属しているサッカーチームの朝練がある。
どうして今更、あの人の夢なんて見たのかな・・・。
あ、時間だ。
私も出勤の時間が迫ってる事に気が付き、慌てて立ち上がり準備に取り掛かった。
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