しろとくろ

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5.しろとくろ 左大臣は「大赤目のクロ」というネコで 王様の親友の父です 「大赤目のクロ」は通り名で 同じ名前が多く苗字を持たないネコたちは 互いを通り名で呼ぶことが多いのでした 「大赤目のクロ」は その名の通り 大きな赤い目を持った黒毛のネコで その鋭い視線を浴びると 石のように硬く凍りついてしまうほどの眼力の持ち主であり 恐ろしくれいてつで頭の切れる猫物でした 右大臣は「ラピスラズリのシロ」と呼ばれ 美しい青色に輝くラピスラズリを埋め込んだ豪華な首輪をしているシャム猫でした しかしその美しい首輪とは対照的に 身体はまるまると太っていて 顔はお世辞にもきれいとはいえず 不釣り合いな様はなんだかこっけいに見えます 「ラピスラズリのシロ」は 王様の奥様 つまり王妃のおばであり 少々高飛車なところがあるが 情報に明るく 行動力のある活発な猫物でした 二匹の大臣は それぞれ王様の手足となり 有能な部下として働いていましたが 本当のところ 彼 彼女らの一番重要な仕事は王様の監視でした 王様が相手のはばつから ワイロをもらってないか 自分たちにとって都合の悪いことをしないか 互いに王様と相手の勢力の行動を つぶさにチェックしあっていたのでした
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