さびしそうなちょうちょ

2/2
前へ
/121ページ
次へ
18.さびしそうなちょうちょ 「ようようお前さんたち 相変わらず楽しそうにやってるねぇ」 「ポール!? なんやお前 冷やかしにきたんか?」 「冷やかし? ばか言っちゃいけねえなぁ オレらはお客様だよオキャクサマ! ほらおめぇらのヘタクソな歌を聞かせろ! 後で宣伝しておいてやるぜ ヘヘヘ」 その猫たちは客席に居座りました 「あの猫たち 誰?」 「そっか タマはまだ会ったことなかったな あいつらはカイネコの奴らさ 中でも蝶ネクタイのポールは 私たち兄弟と腐れ縁でね まあ彼らは言うなれば永遠のライバルってやつだな」 「兄ちゃん あいつらはオイラたちのことをライバルなんて思ってないよ! あいつらは無慈悲な悪魔さ 特にポールは悪魔の王様だね あんな根っからのいじめっこは 他に見たことがないや」 タマは 遠くからじっと 「蝶ネクタイのポール」を見つめました 「彼は 悪いねこに見えないなあ どこかさびしそうに見える ほんとうの友猫を求めているように・・・」 そのとき 小さなモンシロチョウがひらひらと 力なく飛んできて 一輪の真っ赤なバラに止まりました しかしすぐに バラから離れ また力なくゆらゆらと 大空へ舞い戻って行ったのでした
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加