にくきゅうきり

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20.にくきゅうきり 彼女からは いろいろと面白い話が聞けました ジョンとポールのけんかのことや ジョンとジョージの兄弟がおこなったいたずらのことや それに彼女たち兄妹と メガネとヒゲの兄弟の名付け親のことを 「・・・彼はニンゲンのおじいさんで 金色の髪の毛と青い目をしていたわ そして猫を見つけては名前をつける変なひとだったわ しかも その名前が自分の好きな歌手の名前なんですものね わたし女の子なのに スチュアートかピートかどっちがいいって聞かれたわ わたしは女の子よって叫んだら わたしにマリアって名前をつけてくれたの」 彼女は目を輝かせながら 自分の名付け親について語っていました 「それにしても不思議ねえ・・・ なにがって どうしてわたしたちはニンゲンの しかも異国の地の言葉を知ることができ そして彼が猫語を理解できたのか・・・」 「ほんとだね きっと猫も人も もとはひとつだったんじゃないかな?」 「アハハ 何それ? あなたってほんと詩猫よね 猫も人もひとつかぁ それなのに ネコはいつまでもふたつに分かれて争っているわ・・・ タマ ちょっとお願いがあるんだけど ううん これは約束よ」 「約束って何?」 「わたし お姫様になりたいの ノラネコもカイネコも 仲良く暮らせる王国のお姫様 そうしたらまた ジョンとジョージと遊べるわ もちろんあなたとも そしてお兄ちゃんもきっと もとの優しいお兄ちゃんに戻ってくれるはずよ わたしをお姫様にして ね! 指切り」 二匹は右前足を前に出し 肉球と肉球を合わせました 「うん 約束するよ」 この時の約束を 王様はずっと覚えていました そういうわけで王様は 「王様」と呼ばれるようになったあとも カイネコもノラネコも わけへだてなく 全てのネコが仲よく 平和に暮らして欲しいと つねひごろから思っていたのでした
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