第4章 同窓会

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 久しぶりに会った友人は、みな歳相応の風貌になっていたが、気心の知れた、ふるき良き友たちと酌み交わす酒は、旨かった。  ついつい、学生の頃を思い出して酒が進んだ。  宴もたけなわで盛り上がるなか、和子の女友達から耳を疑うような話を聞いた。  真之が渡米した時、既に、和子は妊娠していたというのだ。  渡米後、10ヶ月も経たない内に、和子が子供を生んだので、サークル仲間の間では、ちょっとした噂になったそうだ。  アメリカで、和子が、他の男と結婚して子供を生んだという話は聞いたが、まさか、そんなにも、出産が早かったとは知らなかった。  真之が渡米したのは3月で、和子と別れたのは2月だった。  噂によると、和子が娘を産んだのが11月上旬という事だった。  妊娠期間を10月10日として、指折り数えてみると、和子が妊娠したのは1月ぐらいという事になる。  思い返せば、別れる直前まで、肉体関係はあった。  避妊具も毎回付けていた訳ではなかった気がする。。。  若しかしたら、和子が産んだのは、自分の子供かも知れない…しかも、他の男と結婚して出産していた…  何故、和子は自分に相談してくれなかったのだ  真之は、激しい眩暈(めまい)を覚えた。  一次会が終わった後、真之は二次会へ移動する途中に幹事の中村に、こっそりと和子の現住所と電話番号を教えてもらった。  結婚により苗字が、桜井から清田に変わっていた。  住所は、札幌市西区の発寒(はっさむ)だった。
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