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和子も子供たちと芝生に座って、買ってきたスィートポテトを食べた。
「ママ、とうきびも食べたいよ」
スィートポテトをペロリと食べた息子の幸明が、せがんだ。
「したって、あんた、スィートポテト食ったばっかりっしょや」
「そりゃ美味しかったけど、こんな小っこいんだもん。直ぐ、腹減っちゃうっしょや。ねぇねぇ、ママ、とうきび食べたいよう」
幸明は地団太(じだんだ)を踏んだ。
「全く、仕方ない子だねぇ、あんたは」
和子は焼きたてのとうきびを買ってから、子供たちと公園内を散歩した。
巨大な噴水のある一角に特設ステージが設けられていて、ピエロの格好をした大道芸人がマジックをしていた。
幸明は立ち止まって、そのマジックを眺めた。
巨大な剣を飲み込んだり、飲み込んだはずのボールが口から出てきたりした。
「姉ちゃん、凄いね、凄いね」
幸明は、大興奮してはしゃいでいたが、姉の由美子は冷静だった。
「あんた馬鹿だね。マジックなんだから、カラクリがあるに決まってるっしょ。もっと、大人になりなさいよ」
由美子は、ませた台詞(せりふ)を言った。
「したって、僕、子供だもん。大人になんかなれないよ」
「馬鹿ねぇ、例え話っしょや。あんたが大人になるなんて、十年早いんだわ」
「姉ちゃん、僕は7歳だから、あと10年経っても17だがら、まだ大人になれないよ」
幸明は、得意気に反論した。
「一々、くちごたえして、あんた最近、生意気なのよ」
由美子は、弟の頭を軽く小突いた。
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