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第1章 プロローグ
有紀(ゆき)は、札幌三越のデパ地下で買った大好きなスィートポテトを携えて、地下街のポールタウンを歩いていた。
札幌で大人気のスイートポテトで、15分も並んでようやく買ったものだ。1個つまんでみようと袋を空けた。
「あら、有紀じゃない。久しぶりね。元気だった?」
と声を掛けて近寄ってきた女性がいた。
大学時代に同じサークルで同期だった和子(かずこ)だった。その後ろには、小学生ぐらいの女の子と男の子が二人寄り添っていた。
「本当、久しぶりね。こんな所で会うなんて奇遇ね。和子も元気そうね。いやぁ、めんこいね。子供も二人もいて賑やかそうだね」
「賑やか所の話しでないよ。もう、家の中はすっちゃか、めっちゃかで、なまら大変なのさ」
言葉とは裏腹に、子供を見る和子の瞳は優しかった。
「そういえば、サークルの同期会の案内が来てたね。確か来週だったよね。もちろん、和子も来るっしょ?」
「私は、ちょっと行けないんだわ。みんなに宜しく行っておいて」
和子はそう言いながら、有紀は私が行けないのを知っていて、わざと意地悪して言っているんだと思った。
大学時代の和子は、今の旦那と結婚する前に、同じサークルの西嶋真之(にしじま まさゆき)と付き合っていた。
別れた切っ掛けは、真之の渡米だった。
医薬に関する学位論文が認められて、米国の大学に研究員としていく事になったのだ。
和子は、真之にプロポーズされて、一緒に米国に着いてくるように頼まれた。
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