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愛子は、紳士に郵送先を教えてから郵送代を手渡した。それから、渚で佇む恋人のもとへ戻った。
そして、砂浜の上に二筋の足跡を残しながら、ゆっくりと歩を刻んだ。
やがて、太陽は海上に沈み、大地は夜の帳に閉ざされていった。
愛子は海辺のペンションの一室から、恋人と共に夜空を見上げていた。天の川には、織姫(ベガ)と彦星(アルタイル)が煌々と輝いていた。
二人は、窓辺で口付けを交わし、そのままベッドへ移り、熱く、甘く、互いの体を求め合った。
愛子は、夜中にふと目が覚めた。
恋人は、横で静かに寝息を立てていた。
起き上がって、窓を開けると、潮騒が心地よく耳に響いた。
まるで、天の川の渚にいるような気分だった。
明日になれば、恋人と別れて軽井沢へ戻らなければならない。
愛子は、織姫になったような気分で、星空を見上げて、「二人に永遠の愛を下さい」と祈った。
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