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──明日から夏休み。
そうして、妙に浮ついた気分でいたことをなんとなく覚えている。
大量に出された宿題や課題のことなど、頭になかった。
40日も休みがあるのだから、いつかは終わるはず、なんて楽観的なことを考えて。
“──上杉!”
どこか緊張した真田の声で立ち止まったのは、そんな日だった。
゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚
「決めたよ」
珍しくあたしより先に帰宅していた飛鳥と芹香は、案の定待ち構えていたようだった。
何かを訊かれる前に、2人の勢いに飲まれる前に。
あたしは底冷えする玄関で靴を脱ぐ前に、2人に向かって宣言した。
「決めた。あたし、悪い女になる」
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