窃笑

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1人、いや、2人。 カチカチと時計が長い静寂を支配するこの部屋に、沈黙という重い空気の中に2人が見つめあっていた。 1人は繊細な彫刻されたずっしりとした机に肘をつき、机越しに立っている1人の目を見つめていた。 透き通るような藍色の瞳が突き刺さるような鋭い眼差しを相手に向ける。何かを促しているようなその鋭い目に相手は怯む様子はなく、その目を見つめ返すだけだった。 あれからどのくらい時間が経ったのだろうか。 どちらも話すことはなければ、ただ静かな呼吸を繰り返していた。 ーーーやがて、立っていた1人は手に持っていた何かしらの液体が入ったビンを自らの口に当て、上を向いて液体を飲み込もうとする。 口に含んだ瞬間に眉間にシワを寄せ、なんとか飲み込んだ後すぐに咳き込む動作をする。 「...はぁ、はぁ...はぁ...」 それを見ていた1人は目を細めて、満足そうに冷たく微笑む。少しだけ苦しそうに膝に手をつく目の前の人に小さな拍手を送った。その拍手もその人にとっては雑音にしか聞こえないだろう。 "異物"を飲み込んだ1人は雑音をかき消すように、持っていたビンを目の前の机に叩きつけるようにダンッと音を立てて置く。ビンは衝撃に耐えられずに耳につくような音を立てて割れ、その音にも驚く様子のないもう1人は、さらに口角を釣り上げる。 まだ息が整っていないままフラフラとした足取りで部屋から出て行った1人の背中を静かに見送った1人は、ふぅ、とため息をつき、脱力したようにイスの背もたれに体重を預ける。 そしてゆっくりと瞼を閉じた。 「ーーやっとだ。やっと始まる...」
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