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ーー煩い。
「フェアリス!そっちに行ったぞ!」
煩い。
「西に20m!」
煩い。
地上から8mほど高い位置の木の枝に立っていたフェアリスと呼ばれた女性は、煩い、と一言呟いた。
フェアリスはその場から西に20m、木々を避けながら移動したそこにはドンピシャリに体中を体毛で覆われた獣の姿をした魔物がいた。
20m移動していた中で準備して握った右手を瞬時に魔物の下顎から天に向かって押し上げる。ゴキッと音がしたと思えば、魔物は舌を垂らしたまま力を無くしたように背中側から8m下の地面に落ちていく。空中に浮いている状態で攻撃したせいかあまり拳に体重が乗らなかった為に魔物を一撃で仕留める事ができず、地上ではまだ生きていた魔物を他の"登録者"が息の根を絶つ。
自分自身は満足いかなく苦虫を噛み潰したような表情をして地上に足を着いたのだが、他の登録者は自分に賞賛を送った。
「さすがフェアリス」
「空中でよく打てるわねー」
煩い。
また呟こうとしたが登録者が近くにいた手前、ぐっと言葉を飲み込んだ。
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