希求

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「...そろそろ1人で仕事させてくれない?1人の方が仕事がやりやすいの。静かに仕事ができるから...」 今まで仕事をしてきて、魔物を倒してきたのだが、1人で仕事した方がいいと思っていたことを梛耶に伝えたかった。 今日の仕事の時だってそうだ。指示された内容も自分では分かっていたし、賞賛されることにも正直ウンザリしてしまった。ただ前者については単に独りよがりな意見かもしれないけど。1人でやった方がどれほど気楽にできるのだろう。 「...確かに君にとってはそうかもしれない。ましてや零級の君なら当然の考えだ。しかし、依頼主が弌級と零級に依頼したいとの要望だったんだ。前金も既に貰っているからね」 黙って私の話を聞いていた梛耶がフと薄い口を開く。当たり前だろうと言いたげな口ぶりで私を諭すように言葉を紡いだ。 「...」 「依頼主が絶対なんだ。その人達のおかげでこの機関は稼働できる」 ーー確かにそう、梛耶の言う通りだ。魔物を倒してくれという依頼が来て始めて稼ぐことができる。 分かってはいるけど...。 「でもっ...梛耶!私はーーー」 「仕事に戻ってくれない?フェアリス。君にはまだ報告書と魔物の死体の受け渡しがあるでしょ?...それともここで戯言を零すのも仕事なの?」 時にずれたメガネを中指でクイッと直しながら淡々と仕事を進めている梛耶を一目見る。忙しい素振りを見せ、私に退出を促す無言の圧力は流石としか思えなかった。 まだ言いたいことはあったが、雑用をしていた2人もこっちを見ていた為、黙って部屋を出て行った。
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