番外編・思わぬ要求

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 だからといって、素直にじゃあ好きです、だなどと言えるか。しかも今の流れでそれを言うのは何かが違うような気がする。  ……まぁ、いいか。そんな恥ずかしい台詞を口にするよりは、ケツを掘られたほうがまし――ではないけれども。  罪悪感もあるのかな。それとも、孝大が相手だったらばどちらでもいい……は、美化しすぎだな。童貞であるから入れることにこだわってしまうのかもしれない。  諦めのため息をつく。 「わかったよ。ちゃんと準備しとけよな」  ちょ、いきなり全力で抱きしめてくるな。お前の力、強いんだよっ!  でもって耳元に顔を寄せてくるのはやめろ。 「優しくする」 「どうも」  気のない返事を装うことで精いっぱいだ。何って声で囁きやがる。喉の奥がきゅっと締まったぞ。  ふと、重要なことへ気づいた。
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