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寒い。冬の朝だから仕方が無いのだろうが、頬に突き刺さってくる冷気へうんざりしてしまう。
あそこに見えるのは健介か。肩を落としながら歩いている。おお友よ、その気持ちはよくわかるぜ。
今日という日はいい男かそうでないか、はっきりとわかってしまうからな。
しょぼくれた背中へ声をかける。
「おはようさん。今日も寒いな」
「おっす。そりゃあホワイトバレンタインなんて言葉があるくらいだからさぁ」
……ホワイトクリスマスじゃあなくてか? あんまり聞いたことが無いな、それ。
昇降口へたどり着くと、下駄箱の前で孝大が佇んでいた。何してんだ。また上履きでも盗まれ――何だそれは。どうなってんだ。
孝大の下駄箱の蓋が消えうせている。中にはぎっしりと小箱が詰め込まれ……足元にも箱が散らばってんぞ。それ、どう見ても――
「おお、さすがだなぁ。俺にも一個くらい入ってたりして」
健介が自分の下駄箱を開いた。
頭を垂らし始める。
鼻で笑ってしまった。
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