番外編・思わぬ要求

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「お前、それどうやって持って帰るよ。紙袋とか持ってきたか?」  孝大へ声をかけると、首を横に振られた。 「いや、どうせ受け取る気は無かったので持ってはこなかったのだが……ここまでとは。一人一人に返すことが面倒くさいな」 「何で返すんだよ。そんなんなら俺に一個よこせ」  健介。床に転がってる箱を拾って懐へ入れるな。孝大へ戻せ。  阿呆の背中を押してやる。よろめいて箱、落としやがった。  孝大に向き合い左眉を上げた。 「何で返すんだ。甘いもんが嫌いでも貰っとけよな」 「気持ちには応えられないからな」  それでもさぁ。せっかく買ったり作ったりしたものを無下に返すのも何だろ。  鼻を鳴らしてしまう。 「そんならホワイトデーにお返ししてさ、そん時に一言メッセージでも添えておけばいいんじゃあないか?」  眉間に皺を寄せるなよ、孝大。
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