ツインテールとシュシュ(1)

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「エリナ!」背を向ける彼女に、わたしは「ごめん」と後ろから抱きつく。 「ちょっ! キモいんだけどあんた」 「うちおカネないの! 定期ないと赤城山(あかぎやま)の麓から自転車通学になっちゃう」  だからお願い見捨てないで! 半ベソ状態で懇願すると、わーたわーたとエリナはわたしの体を引き離す。「なんで最初からそう素直になれないの?」  すると杉本くんが受け答える。「須藤さんはお前と違うんだよ。まわりをヘーゼンと巻き込めるタイプじゃないの」 「そこがバカっつってんだよ」  バッサリ切って捨てるエリナに、いやごもっとも~とわたしはすり寄る。  その後も相も変わらぬ無駄口を叩きながら、普通なら7~8分程度の学校までの道のりを20分ほどかけて歩いた。結局その過程で定期が見つかることはなく、わたしたちは廊下や教室など校内を手分けして捜した。そして下校時刻から2時間が経った17時半頃、とうとう切り上げムードとなる。なにあしたになったら見つかるべ。定期ネコババするやつなんていねーだろうし。わたしを安心させるためだろう、杉本くんはいたってのんきにそう言う。じつのところ、わたしもなぜだかそんな予感はしていた。ただ、問題はきょうの帰りとあすの行きをどうするかである。往復分の運賃はあまりに高い。わたしが頭を抱えると、エリナがこんな提案をした。 「杉本んちに泊まってったら?」  唖然としたわたしは「は?」としか聞き返せない。 「おれはべつにいいけど」と杉本くんが言う。 「文化祭、近いよね」ふと思いついたようにエリナは言う。「話し合いが長引いたんで友達んちに泊めてもらうってのもアリかもよ?」  するとわたしの返事を待たず杉本くんが言った。「じゃ姉ちゃんにメールしとくわ」
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