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「なにか案でも?」とクラス委員の男子が問う。
「たとえば……」エリナが首を捻る。「女刑事と連行される凶悪犯、とか」
「で、ミニスカポリスを奥沢さんが?」
「だからたとえばだって! つーか出るなんて言ってないし」
エリナは否定するも、まんざらでもない様子だった。しかもなぜかミニスカが前提になっていて、彼女もこの点を当然のように無視している。ともあれ、女子代表はこれをもって決定と見なされ拍手が湧き起こった。
「じゃあ次は男子」
委員長が言うと、やはりまた教室は沈黙に包まれた。
「誰かあたしに捕まりたいひとー!」
はぁい! はいはーい! とエリナが自らの手を挙げ男子の挙手を促す。
しかし応じる者は皆無だった。
こうして微妙な立場に追いやられた彼女はあがくように悪ノリする。「みんなのハートもタイホしちゃうぞ☆ みたいな? エヘッ」
これによって流れは決定的に変わった。男子どころか女子までもがドン引きした。コイツを出すのは危険だ──。そう考える者さえいても不思議はないムードとなった。「キモいよバカ」。冷めきった口調でそう突っ込んだのは杉本くんだ。さらに別の男子が「つーか奥沢が刑事とか無理ありすぎだろ。むしろ捕まる側じゃね?」とバッサリ。こうして完全に立場をなくしたエリナだが、それでも彼女はめげることなく「じゃあこんなのは?」と次なる案を口にする。
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