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第1話 ハジマリ
私は今、一人で箱根に来ている。
何故、一人なのかは……、……うん。
まぁ、いわゆる傷心旅行と言いましょうか……ねっ?
正直、あんなことになろうとは…。
そしてまた…、『桜』の姓を名乗る事になろうとは…っっ
…そう。私、桜すみれは、
10年間連れ添った夫と、つい先日離婚しました!
まさかですよ。
マイホームに子供も二人いて、さぁ!これからだぞー!!って時に、夫の浮気が発覚…
そう。疑いもしなかった。
夫は2こ上の30歳。
エリート街道まっしぐらってやつだった。
残業がいくら続いても、嫌な顔一つ見せずに、家族サービスだってしてくれるし、私にも子供達にとっても、正に理想的な旦那、パパだったのに…。
だけどある日…
夫が会社に泊まると言った日が1日だけあった。
そんな日に限って、次男の春都が高熱を出してしまい、挙げ句の果てには長男の風斗までも嘔吐を繰り返す始末…
風斗は3歳、春都は1歳…
特に、次男の春都は体が弱く、何度も何度も入退院を繰り返していた。
夫の実家も私の実家も、車で2時間はかかる所にある為、こんな時はいつも夫と二人で頑張ってきたのだが…
私は、淡い期待を胸に抱いて、夫の会社に電話をかけた。
子供達の具合が悪いのなら、もしかしたらと思ったのだ。
しかし…
夫は、会社にいなかった。
『18時半には退社されました』
その言葉を聞いた瞬間、
目の前が真っ暗になった。
色んな事が頭を駆け巡った。
あの優しい夫が私に嘘を…?
私は、いつの間にか震えていた手で、夫のケータイ電話に電話をかけた。
嘘…ついてないよね?
会社の人が勘違いしてるだけだよね…?
だけど、頭の中は悪いことばかり考えていて…
『はい(笑)もっしもーし!あなたの旦那様のケータイでぇーす!(笑)』
私はその場で崩れ落ちてしまった。
しかし、ショックで動かない訳には行かなかった。
子供達を何とかしなければ。
こんな時、本当に子供達がいてくれて良かった。
心からそう思った。
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