第1話 ハジマリ

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その日は、寝ずの看病をした。 明け方になる頃には、二人とも何とか落ち着いて寝てくれたので、ようやく一息つくことができた。 そして、私がコーヒーを入れて飲もうとした瞬間、 がチャリ。 と、家の玄関が開く音がした。 私は、その頃にはショックから怒りに変わっていたので、リビングにノコノコとやってきた夫に詰め寄り、問いつめた。 すると、みるみる夫の顔が青ざめていき、 夫は、その場で土下座をして 私に必死に頭を下げて謝ってきた。 夫は、会社の若い女と関係をもっていたのだ。 泣きながら私の足にしがみつき、必死に許しを乞う夫を許せなかった。 あの優しい笑顔も、あの家族サービスも、全てが嘘だったのか。 子供達に向けられたあの愛情さえも… 信頼関係を失ってしまえば、夫婦は成り立たない。 違う女を抱いた夫とは、どうしてもやり直せなかった。
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