棺の中で

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『8月4日』 明日には母艦へ帰る予定だったのに、このままでは予定通り運びそうにない。無線は壊れてしまったけれど、定刻を過ぎても私が現れず連絡もなければ誰かが探しに来てくれるだろう。本当は不安で仕方ない。ここでは私は彼らの生活空間を侵す異邦者だ。もう陸に戻れないかもしれないと思うと錯乱してしまいそうだ。海で死ねたら本望と思っていたのは昔のことで、今は愛する人たちの待つ地上へ帰りたくてたまらない。
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