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本庄駅に着くと同時に
出口から亜希ちゃんが
変わらぬ笑顔で走り出して
私の車へと向かって来た。
「紗枝さん!おはようございます!」
「おはよう亜希ちゃん。
朝早かったから起きるの
大変だったんじゃないの?」
「全然大丈夫です!」
キラキラの笑顔で答えてくれる
亜希ちゃんの様子を見ていると
やっぱり私と孝之のこれからを
亜希ちゃんが知っているとは
とても思えなくて…。
病院に向かって車を
走らせながら私は思った。
やっぱり…
孝之は私のために
精一杯の嘘をついたのでは
ないだろうか?
孝之とはあの日以来
会いにくくて…
彼が寝付いた頃に
こっそり洗濯物を
届けていただけで
全く話していなかったけれど
…私はまだ孝之にも
伝えていない言葉がある。
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