2121人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
助手席で楽しそうに
来年の春に受験する高校の
事を話してくれる亜希ちゃんに
微笑んで相槌を打ちながら
私は心の中でその言葉を
どう孝之に伝えるべきか
必死に考えていた。
病院に着いて、
エレベーターに乗り込み
ボタンを押す指が戸惑う。
孝之の病室がある5階。
聖が今、必死に戦っている7階。
まるでそのボタンを選ぶ事が
私の人生の行く末を
決める行為のように感じて…
ボタンを見つめたまま
押せない私に亜希ちゃんが
首を傾げて隣から
5階のボタンを押した。
「あ…亜希ちゃんごめん」
「いえ、
でも紗枝さん大丈夫ですか?
なんか顔色悪いけど」
さすがに昨夜は寝ていないだけに
私…くたびれた顔してるのかな…。
最初のコメントを投稿しよう!