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「うん、大丈夫よ」
笑いながらそう亜希ちゃんに
答えながらも私の身体は
かなり疲れていたのかもしれない。
亜希ちゃん共々5階で降りて
孝之の病室へと足を踏み入れる。
車いすに乗って窓際で
空を見つめている
孝之の背中がそこにはあって。
「パパ!」
亜希ちゃんの声に
ゆっくりと振り返った
孝之は穏やかな笑みを
携えて私と亜希ちゃんを
見つめた。
その瞳から伝わって来るのは
…彼が私にくれる深い愛。
…ああやっぱりそうなんだ。
そう思いながら私は瞼を伏せた。
孝之を真っ直ぐに
見つめられない
自分が申し訳なくて
たまらない。
けれど…
私はもう…彼の愛を
受け止める事は出来ないのだ。
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