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「遺留品が発見された河原で、矢崎さんの車は見つかったんですか?」
「見つかってねぇだよ。もし見つかっていれば、車両ナンバーから直ぐに身元は判明とるだ」
「それはおかしいですね。矢崎さんは、レンタカーで移動していたはずです。川をいかだ下りしたんでもあるまいし、15キロ以上も歩かないとは思いますが…」
「そう言われて見れりゃ、そうだなぁ。分かったよ、もう一度、現場付近で、車の捜索をしてみるわ」
「若しかしたら、佐久には、ないのかも知れませんね。刑事さん、軽井沢の釜ヶ淵付近で、駐車違反の車がないかを、軽井沢署に聞いて貰えませんか?」
「あそこには、行方不明者が出ていないか問い合わせたが、ろくすっぽ調べもしねぇで、特に行方不明者は出てないという回答を今朝もらっただよ。でもまぁ、もう一回確認してみるか。おい、ヒゲ。ちょっくら、軽井沢署に電話してみてくれや」
木内は、金子に指示した。
しばらくしてから、金子が血相を変えて戻ってきた。
「木内さん、ありました。釜ヶ淵付近の林道で駐禁があったそうです。車両ナンバーからレンタカーと判明していて、借主は矢崎誠治という男性だそうです」
「何、なんだと。何で、軽井沢署の連中は、こっちに報告して来なかったんだ。ばかやろう」と怒鳴った。
「いやぁ、そんな事を僕に言われても…」
金子は、面白くなさそうに顎鬚(あごひげ)を撫でた。
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